こんにちは、たまかえるです。
電気自動車って、普及しているの?
と思っている方向けの記事です。
結論から言うと、普及していません。
最も普及している国はノルウェーです。こちらの記事によると、
19年に同国の新車販売に純粋なEVが占めた割合は世界記録となる42.4%だった
出典:https://jp.reuters.com/article/autos-electric-norway-idJPKBN1Z5023、「ノルウェーのEV比率、2019年に世界最高の42.4%に 今年は競争激化」 ※上記引用文にある同国とはノルウェーを指す
とのこと。
また、同記事内ではフォルクスワーゲン社のEVに関する市場予測にも触れられております。
VWはノルウェー市場の見通しについて「自動車市場のEVのシェア拡大が加速している。2025年には100%に達するだろう」との予測を示している。
出典:https://jp.reuters.com/article/autos-electric-norway-idJPKBN1Z5023、「ノルウェーのEV比率、2019年に世界最高の42.4%に 今年は競争激化」 黄色強調は筆者。
私は現在ガソリン車に乗っていますが、電気自動車への乗り換えを検討しています。
電気自動車の普及に関して自分なりに情報を整理してみましたので、紹介いたします。
皆様の参考になれば幸いです。
それでは、いってみましょう!
電気自動車の日本と世界各国の状況
日本および世界各国の電気自動車の状況をみていきたいと思います。
その前にまず、温室効果ガス排出削減に関する世界的な取り決めである、「パリ協定」について言及します。
パリ協定の概要を理解しておくことは、EVについて知る上で重要だと考えるからです。
パリ協定(Paris Agreement)
2015年、パリで開催されたCOP21(国連気候変動枠組条約締約国会議)で採択された協定です。
パリ協定は京都議定書の後継となる協定です。
京都議定書では先進国に温室効果ガス削減の数値目標が設定されましたが、発展途上国はその目標はありませんでした。
パリ協定ではすべての国を対象とした取り組みとなっています。
パリ協定の要点ついて、外務省のページより引用させていただきます。
・京都議定書に代わる,2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組みです。
・歴史上はじめて,全ての国が参加する公平な合意です。
・安倍総理が首脳会合に出席し,日本からは2020年に現状の1.3倍となる約1.3兆円の途上国向け資金支援を発表。先進国全体で2020年までに年間1,000億ドルという目標の達成に向け取り組むことを約束し,合意に向けた交渉を後押ししました。
出典:https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ch/page1w_000119.html、黄色強調は筆者。
このパリ協定により、すべての国が温室効果ガス削減等の取り組みを行う義務を負っています。
私は今後、EV化が世界的に進んでいくと考えています。
ただし、各国ごとに抱える様々な事情(インフラ、財政、政治的な要素等)もあるため、単純にEVに置き換わるものではないと考えています。
日本
それでは日本のEV事情についてみていきましょう。
国土交通省および経済産業省が作成した「EV/PHV普及の現状について」を使用させていただきます。
新車販売実績(2017年)
日本国内の電気自動車の2017年の新車販売実績は以下の通り。
電気自動車の割合は1%もありません。普及とは程遠いです。
なお政府は2030年には電気自動車とプラグイン・ハイブリッド自動車合わせて20~30%にする目標を掲げています。
現状国内ではガソリン車(63%)とハイブリッド車(32%)が主流となっています。
電気自動車の年間販売台数推移
以下のグラフは、日本における次世代自動車の年間販売台数の推移を表しています。
オレンジ色がEVです。(ほとんど見えませんが…)
大半がハイブリッド自動車(HV)で電気自動車(EV)は極めて少ないことが確認できます。
私は、このグラフを見て、
ここ10年間日本では電気自動車はほとんど普及していないと数字ベースで実感しました。
日本で電気自動車を買う人は、少数派なのです(私は買う気満々です☆)
EV購入・保有への支援
日本政府は電気自動車の販売割合を増やすべく、①補助金を支給したり、②税制優遇を設けたりしています。
①の補助金について
電気自動車を購入する際、「クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金」を受けられます。
例)日産リーフの場合、40万円が国から補助
また、県や市町村など各自治体によっては個人に対しても補助金が出るところもあります。
例)東京都の場合、個人が電気自動車またはPHEVを買う際、30万円が補助
お住まいの地域の補助金について詳しくはこちらのサイトにて確認できます。
②税制優遇について
電気自動車では、自動車取得税が非課税、自動車重量税が免税、自動車税が概ね75%減税となります。
【以下愛知県の方向け】
ちなみに、私の住んでいる愛知県では独自の課税免除制度があります。
例)令和2年11月に電気自動車を新車登録した場合、令和2年度分と令和3~7年度分の自動車税が全額減税となります。
詳しくは愛知県のウェブページを御覧ください。
このように、電気自動車は補助金が充実しており、税制面でも優遇されていることがわかります。
世界各国の状況
次に世界に目を向けます。
世界各国の目標
電気自動車の導入に向けた各国の目標についても先程紹介した「EV/PHV普及の現状について」内にまとめられていました
この表で私が注目した点は、中国は「義務化」という他国に比べて強めの目標を掲げていることです。
人口の多さも相まって、今後中国はEV先進国となるでしょう。
地域ごとの販売状況
以下のグラフは世界のBEVの在庫量の推移を示しています。
2019年の各地域ごとの割合は、中国55%、欧州20%、アメリカ18%、その他の地域が8%です。
2015年から2019年にかけて、中国BEV(水色)の割合が急激に増えています。
ヨーロッパ、アメリカでもBEVの割合は増加しています。
世界における電気自動車の販売は、中国での急増を背景に伸びていることがわかります。
中国
まずは、パイの大きい中国からみていきます。
EV販売シェアに関しては、ニッセイ基礎研究所さんのこちらの資料を引用させていただきます。
2019年のデータでは、乗用車EVは3.9%です。(商用トラックのEVが3.1%となっています)
中国のEV急増の最大の要因は政府の補助金です。
2020年現在、中国財政省はEV1台当たり最大2万2500元(約35万円,1元=15.63円で換算)の補助が受けられます。
この政府補助金は当初2020年末まででしたが、現時点では2022年末まで延長されています。
また、中国でも地域による独自の補助金があります。
例)広東省深セン市では、EV1台当たり最大4万元(約65万円)の補助が受けられる。
このように国や自治体による大きな後押しが中国でのEV急増の要因となっています。
欧州(EU)
欧州でのEV事情を見ていきましょう。
EV販売シェアに関しては、MARKLINESさんのページを引用させていただきます。
乗用車販売台数:2020年1-5月は前年同期比42.8%減
コロナ禍で欧州での生産が240万台減少
各国政府は自動車産業への支援策で電動化を後押し
CO2排出規制:2021年目標は95g/km、2030年は2021年目標比37.5%減
ディーゼル車の販売比率は2019年に約3割に低下
2019年のEVの販売比率は2.3%、PHVは1.3%、HVは5.9%
Brexit:英国は2020年1月末にEUから離脱、EUとのFTA交渉は難航
LMC Automotive 販売予測:西欧の販売台数は2020年に26%減少、2023年まで1,600万台への回復は見込めず
出典:https://www.marklines.com/ja/report/rep2038_202007 、自動車産業ポータル MARKLINES。黄色強調は筆者。
欧州でのEVは2.3%となっています。
上記記事要約に排出規制のことが書かれていますが、その規制はCAFE規制というものです。
各自動車メーカは販売車両数に応じたCO2排出量の目標が設定され、その目標を達成できない場合はEUに罰金を支払わなければなりません。
(参考資料:日本の次期燃費基準の達成判定方式は企業別平均燃費基準方式(CAFE方式)とする方針であることを示す資料)
各社はEVやハイブリット車等でCO2排出を削減し、CAFE基準値をクリアする必要がありますが、なかなか難しいようです。
アメリカ
電気自動車のシェア世界トップである、テスラがあるアメリカを見ていきましょう。
JETROのこちらの資料から引用させていただきます。
(前略)米国のEV市場は拡大傾向にあり、メーカーは生産拡大に努めているが、米国の自動車市場の規模を考慮すると、EVのマーケットシェアは各国と比較して高いとは言えないのが現状だ。米国市場におけるEVのシェアは2016年に0.9%であった。
出典:https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2018/14f790ea26fb9da9.html 黄色強調は筆者。
2016年のデータでやや古いですが、テスラのお膝元アメリカでもEVシェアでみると日本と同様少ないです。
また同記事では、EVシェアを押し下げる要因として3つ上げています。
- 充電インフラの不足
- ガソリン車と比較して高い価格
- 大型車を好む消費者嗜好
たしかに、このような各国ごとの事情があるため普及はまだ先のようです。
EV販売をけん引しているのは、「ゼロ・エミッション車(ZEV)プログラム」に署名している、カリフォルニア州、コネチカット州、(中略)の10州だ。本プログラムは、EVなどのZEVの普及に取り組むことを目的としている。実際に2016年のEV販売台数をみると、これら10州だけで全米のEV販売台数のおおよそ60%を占めている。
出典:https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2018/14f790ea26fb9da9.html
シリコンバレーを有する世界的にも大きな経済規模を持つカリフォルニア州の知事は先日、
2035年以降の新車はすべてZEV(Zero Emission Vehicle,電気自動車や燃料電池車を指す)にする方針を掲げました。
今後のアメリカの動向、非常に興味深いです(^_^)
テスラについて
世界のEV販売シェアトップのテスラについて少しだけ触れます。
テスラはギガファクトリーと呼ばれる、巨大な工場を世界各地に建設しています。
現在、ネバダのギガファクトリー1、ニューヨークのギガファクトリー2、中国のギガ上海が稼働しています。
以下はギガ上海の参考動画です↓
なおヨーロッパではドイツにギガベルリンが建設中です。(建設に関してはドイツ政府と揉めている模様)
以下、イーロン・マスク氏のツイートにおけるギガベルリンのイメージです。
近未来感あふれる工場ですね。周りはなんだか森のようになっています。
さて、さいごにテスラのQ3-2020の決算資料について、1点だけ紹介します。
テスラの排出権の売上高(of which regulatory credits)は、Q3-2020 において、397 Million $ (約417億円 ,1$=105円で換算)あり、前年比+196%です。
この値は、決して小さいものではないと考えます。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
EVの普及はまだまだこれからといった感じですね。
これからもEV普及の動向を追っていきたいと思っています。
それではまた!